平成11年度 情報ネットワーク論I
--- 解答例 ---



1. データリンク層アドレスとIP層アドレスを動的に対応づけする機能を提
   供するARPは、セキュリティ面で問題が多い。これはなぜか。

   第1項目が書けていればよい。第2項目が書けていればなおよい。

	・ARP の問い合わせメッセージに対して、偽の ARP メッセージを送
	  ることで成りすましが可能である。
	・古い機器の中には ARP で通知された MAC Address をそのまま使う
	  ものがある。そのような機器に対して、問い合わせた IP アドレス
	  に対応する MAC Address として Ethernet Broadcast アドレスを
	  送った場合、その IP アドレス宛のパケットはすべて Ethernet 
	  Broadcast アドレス宛に送る。その結果、そのネットワークに接続
	  された機器は不必要な負荷がかかる。またルータがそれを受信する
	  と正しい宛先に再転送しようとするため、ネットワークに不必要な
	  トラフィックが流れることになる。


2. 現在のインターネットでの経路制御では、AS(Autonomous System)を 用いた階層化が行われている。なぜこのような階層化が取り入れられたの かを述べよ。 おおよそ次が書けていればよい。 ・インターネットの巨大化により、 ・ひとつの経路制御方式でインターネット全体の経路制御を 行なうことが技術的に難しくなったため。 ・経路表の巨大化により、すべてのルータに全経路を持たせ ることが難しくなったため。 ・インターネットの運用には複数の事業体 (ISP = Internet Service Provider) が関係し、それぞれが運用ポリシを持っているため。
3. 現在のIP(IPv4)ヘッダに用意されたTOSフィールドは、現実に は殆ど使われていない。これは何故か。 以下のうちのいくつかが書かれていればよい。配点は項目により異なる。 ・TOS の Framework は定義が十分でない。 ・TOS field のつけかたの基準が曖昧。妥当性の判断が難しい。 ・Precedence, TOS bits を常に高くする可能性がある。 ・優先権の乱用(不正)を防ぐ手段がない。 ・罰則を作ることが難しい。 ・料金システムが難しい。 ・処理優先権を各 AS でどう扱うかが明確でない。 ・仕様が中途半端である。 ・TOS をがんばって実現しても現実には嬉しさが少なそう。 ・複雑な気持ちを十分に記述するには bit数がたりない。 ・違う src の優先度を一列に並べてよいか? ・実装がほとんど存在しない。 ・実装が困難である。 ・作ったとしてもコストが高い。 ・データリンクとの対応が明確でない。 ・網提供者もサポートしてない。 ・網管理者がサポートする義務も必要性もない。 ・AS 間の調整が困難。 ・課金が難しい。 ・ユーザが真面目に指定しないのでサポートしない。 網がサポートしてないので、ユーザも真面目に指定しない。
4. 携帯電話がIP化(すなわち携帯電話そのものがインターネットだけに直 結されている状態)するには、現時点で足りない技術としては何が有るだ ろうか。その技術と、何故必要なのかをできる限り多く述べよ。 以下のうちのいくつかが書かれていればよい。配点は項目により異なる。 ・データリンク層、物理層 ・高帯域化 (高速化、通信路の有効利用技術(CDMA化)) ・エラー率を落す、もしくはエラー訂正技術(アンテナ, etc.) ・(有線 LAN と互換性のある規格が望ましい) ・アドレス ・どのようなアドレスが必要か?どのような階層構造を持つべきか? (例: FQDN, Virtual IP addr., Phy. IP addr, node ID) ・電話番号、Domain name との対応付け ・メールアドレス等の付け方 ・移動のための技術 ・ローミング技術 ・基地局間移動時のハンドオーバー技術、管理 ・複数の基地局が利用可能なときの選択ポリシー 例1: 出先の Firewall 内で、LAN vs. 近所の無線基地局 例2: 所属組織の Firewall 内で、LAN vs. 近所の無線基地局 ・IP レベルの移動技術 ・固定IPアドレスを使う場合 ・Mobile IP, VIP の効率向上、不足技術の強化 ・IPアドレスを動的に変える場合: ・Dynamic DNS ・connection の端点のアドレスを動的に変更する技術 ・固定、動的の両方で必要な技術 ・移動後に、一定期間移動先にパケットを転送 ・アドレス動的割当/解放と組み合わせて ・圏外になったとき対策 ・接続先ネットワークの切り替えの際、音声ストリームが 途切れることなくスムーズに移動する技術。 ・Mobile Multicast ・Firewall内からの利用 ・Firewall の越し方 (穴の開け方、発信者制限、etc.) ・Firewall 内のノードの呼び出し ・スケーラビリティ ・十分な subnet 数、ピーク+αを想定したホスト数 ・IP アドレス絶対数が足りないかもしれない →IPv6化 ・安価な基地局を設置しただけで使えるようになる技術 ・IP的トポロジーの組み方、経路制御 ・QoS ・品質保証 (帯域、遅延、jitter など) ・QoS Routing (複雑で冗長なトポロジーでも動く) ・インターネット電話の音質向上 ・音声の圧縮技術 ・混雑度に応じてフルレート、ハーフレート自動切替 ・基地局間移動対策 ・データ転送技術 ・トランスポート技術 (ノイズが多いリンク用の TCP, etc.) ・IP アドレスが変わっても通信が途切れない工夫 (変える場合) ・データの圧縮技術 ・アプリケーション用技術 ・ユーザインタフェース (携帯電話のボタンのみで操作) と それをサポートする技術。(WAP, iMode, etc.) ・小さなディスプレイへの表示技術。 ・圏外時の留守番電話サービス実現 ・セキュリティ ・盗聴対策 (どこを通るかわからないので) ・認証技術 ・Privacy (IPアドレスから個人が特定されないように?) ・課金技術 ・実装技術 ・小さくて大容量なメモリ、小さくてきれいなディスプレイ ・小さい中に TCP/IP を実装 ・消費電力 ・国際標準化作業 ・データリンクからアプリケーションまで