奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)、先端科学技術研究科 情報領域 サイバーレジリエンス構成学研究室(IPLab)ではセキュリティ技術およびインターネット技術を強みとして、領域にとらわれない幅の広い研究を行なっています。IPLabでは研究テーマを制限することなく、あらゆる物事に対して教員・学生・インターン生を含む構成員全員が本気で議論・切磋琢磨し、自由闊達に研究を行う研究室です。研究を通して教科書的な知識・技術を身につけられる受動的能力だけではなく、更に深く、物事に疑問を持ち、問題の核心を分析し、本質を見極め、問題解決にむけて持てるものを総動員する能動的能力を身につけることを目指します。そのために、しっかりと思考を巡らせて行動できる人物育成を行います。大学を卒業してから、もしくは社会人として仕事をしてから、更に実力を身に付けたい、異なる分野に挑戦したい、専門的な研究に没入したいなど自発的なモチベーションがある方からの応募を歓迎します。
IPLabでは学位取得後も持続的に成長を続けられる人物の育成に力を入れています。研究テーマの設定から学位論文の執筆までの過程で情報の咀嚼方法、物事の考え方、議論の方法、文章の書き方など、様々な能力を獲得するための指導をします。教員は妥協することなく指導しますので、教員と真摯に対話する姿勢があるのはもちろんのこと、沢山の経験(時には挫折)を重ねて成長したいという強い意志と最後までやり抜く力(レジリエンス)を早々に獲得してもらいます。簡単に獲得できる能力は程度が知れていますので、IPLabでは特に多くを経験して身につける圧倒的に価値が高い能力の習得を重視します。とても大変です。ですが、社会に出てからも役に立つスキルを身につけられるはずです。ただし、この様な成長できる"環境"は整えますが、その環境を生かすも殺すも学生本人の意志や行動力に依存します。また、IPLabでは現在の専門は一切問いません(これまでに情報以外の分野からの学生も多く輩出しています)。入試の小論文はその時点で取り得る最大限の努力の範疇で執筆してください。入学審査をは試験・面接結果の総合的な評価に基づきます。
IPLabに興味が湧いた方は、まずはご自分の意志で積極的に研究室の見学に来てください。見学が難しい場合はメールでコンタクトしてみてください。会話しないとわからないことも多いです。IPLabではコミュニケーションを大切にしています。研究室の見学にはいつでも見学会 を利用してください。ただし、教員が多忙な時期もありますから日程には幅を持たせて希望してください。入試直前に急ぎ足で来るよりは、早いうちに来るのを推奨します。進路の決断は大切なことなので、早々に判断を下す材料を集めて進学する大学院や希望研究室、その他の進路の選択肢を吟味してください。判断材料が揃わない内に判断するのは愚策ですし、材料が無いのに悩んでいても時間の無駄になる可能性があります。バーチャルオープンキャンパスで公開したサイトがありますのでこちらも参考にしてください。検討した上でサイバーレジリエンス構成学研究室に行きたい!と思ってくれれば幸いです。
下にIPLabについて疑問に感じそうなことをQ/Aにまとめましたので参考にしてください。ただし、これでIPLabを理解した気になるのはいけません。会話しないとわからないことも多いですから。
研究室について
Q: 研究室はどんな雰囲気ですか?
研究室では学生が集中して研究に取り組んでいます。学生室内は開放的な空間設計をしてますので、自然発生的に学生が議論をしている事も多いです。厳格なルールも無いので研究室で雑談をしていたり、もぐもぐタイムをしていたり、寝ていたり、遊ぶ計画を立てていたりと一般的な大学の研究室の様子と変わりないと思います。一般的な大学との違いは教員との距離感の近さだと思います。IPLabは学生室の隅っこに教員のオフィスがある様なレイアウトで、しかも教授・准教授室はガラスで中が見える(しかも扉はほぼいつも開けています)ので、学生と教員で空気感を共有してます。教員が席を立つと必ず学生室を通るので声もかけやすいはずです。教員が休憩するのも学生室なので教員の様子が手に取るようにわかる研究室になっていると思います。ちなみに、教員のオフィスの扉が空いている時はいつでも来て構わないという合図です。でもほとんどいつも開いています。先生が忙しそうでも声をかけやすい環境作りを意識しています。
Q: 他の研究室との違いは何ですか?
IPLabは留学生や、国内外の人の出入りが多いのが特徴です。正規の学生以外にも沢山のインターンや研究者が短期・長期さまざまな期間で滞在しています。誰がいつ来訪・帰国するのかをうっかり忘れるぐらい多いです。アフリカ、アジア、EU、アメリカ大陸方面など様々な地域から来ている多様性に溢れた研究室です。彼ら・彼女らとの会話はもちろん英語ですが、学生たちはうまくコミュニケーションを取っていると思います。この様に人の出入りが激しいのでもちろん歓送迎などパーティーの頻度が高いです。幹事の好みで街に飲みに出かけたり、学内でBBQをしたり、研究室で寿司パ・タコパをしたり、敢えて日本のテイストを入れて楽しんでいます。国内外でのコミュニティが益々広がっています。望めば異文化交流の経験もたくさん積める事でしょう。
研究においても特徴があります。IPLabでは学生それぞれに異なる突き抜けた専門性を期待しています。他の学生と重複する事の無い専門性を持ってもらう事で自由闊達な連携ができると信じているからです。特定の専門を沢山の学生で共有すると共通の経験に基づく学生の知識・技術の均質化が進み、価値創造が滞る可能性があります。それを避けるためにも各個人が異なる専門・特技を持ち、独立して職人の様に研ぎ澄ますことで有機的に連携してイノベーションを生み出せると考えています。しかし、専門性の重複が不可と言っているわけではありません。学生同士で切磋琢磨して技を高めあう、そういう連携もあり得ると思います。学生ごとに専門が異なると研究打ち合わせや日常的な議論を通して、研究室内で浴びる情報の量も種類も増えます。積極的に打ち合せに参加することで幅広い知識を獲得できるでしょう。この点がIPLabの特色だと言えると思います。
Q: 英語が不安(苦手)です。
IPLabでは留学生が多く、日常から英語でコミュニケーションします。英語と聞いて尻込みする学生もいますが、英語は研究に取り組む上で避けて通れません。例えば、IPLabでは修士の学生も意欲と能力があれば、国際会議での発表機会があります。研究では一流を目指すので最新の動向調査(英語)が必須です。一般的にも、現代社会は国際化が進んでいますので、社会に出てからも英語の必要性は増し続けます。その意味で英語で「読む」「書く」「話す」はこれから成長・活躍する上で必須のツールになります。重要な(英語での)会議にぶっつけ本番で挑んで失敗するより、日常から練習と失敗の経験を積める環境は素晴らしいと思います。英語の読み書きは時間をかけて推敲すれば何とかなりますが、会話では経験がものを言います。その点でIPLabは日常的に言語経験を積める場が整っているので積極的にコミュニケーションを取って訓練ができます。
なお、IPLabでは、様々な母国語を操る留学生が多くおり、その気になれば沢山の言語に触れられます。(彼ら・彼女らはもちろん英語を話します。)現在、日常的に日本語以外の異なる言語に触れる環境というのは限られています。その貴重な環境がここにあります。
Q: 卒業後の進路はどんな所がありますか?
修士卒では情報分野でよく知られている有力な企業への就職が多いです。研究にしっかり取り組めば沢山の議論をしますので、コミュニケーション力も増しますし、エンジニアとしての論理性も高まります。その点で入学後から地道に、しっかり研究している学生ほど難なく内定を貰っているように感じます。基本学力はあるし、面接すれば優れていることは明らかなので早々に指名されるのは自然の摂理だと思います。
博士卒の学生は修士卒と違い新卒一斉採用というのがありませんので、一対一の"お見合い"になります。博士は就職難の時代と言われていますが、IPLabでは相当に力を身に付けられるため、博士卒の修了者はみな、国内外の有力企業や研究機関に就職し、活躍しています。卒業生は民間・大学ともにキャリアを築いています。
Q: 博士後期課程への進学、または入学はできますか?
課程博士ももちろん、社会人博士や社会人経験者の博士後期課程への進学も大歓迎です。博士号は職によっては必要であったり、キャリアを積む上で求められる場合が多々あります。そのような職やキャリアを考えておられる場合、IPLabへの応募をご検討ください。必要になりそうな見込みがある時点で慌てず急がず学位を取っておく事をお勧めします。働きながらや専業で等、様々な方法がありますので柔軟に対応できます(しかしエフォートの総量が減るわけではありません。頑張るのはあなた自身です)。
課程博士への進学(他大学からの進学希望も含め)を考える学生さんは早めに教員に相談してください。全てがうまく進むとは限りませんが、博士課程を視野に入れたサポートをします。例えば、修士時点で博士在学時の奨学金(返済不要)に応募する事が可能です。学振の様な博士学生向けの研究員職(博士論文の研究遂行に対して給与が出ます)もあります。その様な有利な制度の締め切りを過ぎてから進学を判断していては大きな機会損失になり得ます。早いうちに材料を揃えて判断し、早いうちに教員に相談してください。なお、IPLabでは早期での学位取得を推奨しています。NAISTでは極めて優秀な研究業績を挙げた場合、最短で修士1年+博士2年で博士が取れます。博士のみでは最短1年です。
Q: 社会人学生は受け入れていますか?
社会人は積極的に受け入れていて大歓迎ですし、これまで多数の実績もあります。仕事を並行しながらの学位取得も可能です(しかしエフォートの総量が減るわけではありません。勤務先の理解を得た上で頑張るのはあなた自身です)。打ち合せへの参加を遠隔とし、必要最小限の来学となるように調整できます。学位取得までの期間に指定はありません。標準年限より短縮して取得(例えば1年間で博士を取得)する方もいます。修士・博士問わず社会人で学位取得にご興味のある方はまず相談ください。
Q: 飛び級は受け入れていますか?
NAISTへの入学基準を満たしていれさえすれば、飛び級かどうかは問いません。正規の方法で入学審査を受けてください。入学後に扱いを変えるつもりもありませんので、利益・不利益のどちらもありません。
Q: 雑用は多いですか?
削減を意識していますが、どうしても研究以外でお願いする事はあります。例えば、オープンキャンパスの様に大学に在籍する限り参加が必要なイベントや、研究を行うための環境保全・管理があります。イベント参加では、研究室として手持ちのアセットをうまく活用して学生の払うコストを下げる努力をしています。環境保全・管理は、共通エリアの清掃・管理は大学で担っていますので、普段の研究生活で使う研究室の管理は学生自身で管理してもらっています。数年間は研究室に入り浸るわけですから、自宅を掃除することと同じである思います。なお、TA・RA等の業務ではアルバイトとして学生を雇用しています。
Q: コアタイムはありますか?
コアタイムは設定していません。成果主義です。ただし、研究成果をあげたり、能力を伸ばしたり(大学院では同義ですが)するためには、できる限り研究室に来て学生同士や教員との議論をすべきです。一人で悶々と頑張って成果が出る事も無いとは言いませんが、研究経験が少ない中でそれを達成するのは極めて難しいと思います。研究を進める上では経験を要する部分、人との議論を要する部分など一人では難しい要素も絡んできます。研究室で相談しながら地道に頑張るのが1番の近道だと思います。従って、成長する・成果を生み出すためにも規則正しい生活を身に付けることを推奨しています。
研究について
Q: どんな研究ができますか?(◯◯の研究はできますか?)
よほどの分野違いで無い限り、どの様な研究にでも取り組めます。これまでにゲーミフィケーションをテーマにした研究もあれば、教育をテーマにした研究、純粋グラフ理論をテーマにした理論研究もあります。個人個人が情熱を注いで取り組めるテーマであれば自由です。(流石に枯れきった研究分野のテーマは学位論文を書けないので止めますが。)教員個人個人の専門も人脈も広いですし、教員間での重複も少ないので研究室内で指導できるカバレッジはとても広いです。ただし、ロボットを作りたいとか、衛星を作りたい、半導体を設計したい、などの研究機材が明らかに異なる分野を希望する場合には機材を揃えきれませんので、すでに必要機材を揃えている他の研究室を希望するのが適切だと思います。
Q: 研究テーマはどの様に決まりますか?
研究テーマは学生に自発的に決めてもらいます。人それぞれですが、入試の小論文の内容にこだわり続けて研究テーマにたどり着く学生や、文献調査で得た知識を元に研究テーマを見つける学生、教員と雑談を元にテーマ発見に至る学生など様々です。しかし、研究テーマの決定は険しい修行の道です。興味のあるテーマを見つけてきたとしても、IPLabではそのテーマの重要性、取り組む価値の説明を求めます。誰も取り組んでいないテーマであるだけでは根拠として不十分です。しっかり工学的な観点で問題分析を行い、その問題が重要であることを客観的に示せる必要があります。既知の問題意識であれば、研究の着目点やアプローチの必要性や重要性の説明を求めるでしょう。そのための議論の積み上げや材料集めを教員との打ち合わせを通して取り組むことで研究テーマの焦点が定まってきます。研究テーマが決まる頃には議論の積み上げ方法や技術調査の方法を習得し、問題分析力も高まっているでしょう。一石二鳥です。
Q: 研究の進め方を教えてください。
IPLabでは、月に1度は必ずミーティングを開催して進捗報告をしてもらいます。教員は全員参加し、学生も原則全員参加です。その場で研究に対するコメントを大いに出し合います。それとは別に、教員と個別に打ち合わせをする場合もあります。国内外の民間企業や大学との共同研究に学生に混じってもらう場合もあります。他にも教員から密に指導を受ける必要がある場合には、突発的に打ち合わせをしたり、メールで議論を繰り返す様な、学生の状況や研究テーマに合わせて適切で柔軟な指導を行います。時には休憩中にコーヒーを飲みながら議論が進むという様なこともあります。日常的に研究を進めるための議論を交わす体制が整っています。
Q: 研究のスケジュール感を教えてください。
修士は1年目で国内研究会、2年目で国際会議での発表を理想として研究を進めます。修士は入学後の半年間は授業が詰まりますが、当初から研究に取り組んでもらいます。研究の興味分野に基づいて基礎勉強を進め、文献調査を頑張ってもらいます。研究のアイデアは突然出てくるものでは無いので、大量の情報入力をして考察する段階です。その後、研究の具体的な取り組み、実装したり実験したりの手を動かす段階は修士1年(〜12月)の内に頑張って、国内研究会での発表を目指します。その後は国際会議への論文投稿に向けて、研究の深化を進めます。国際会議は投稿から発表までに数ヶ月を要しますから、発表をしたい学生にはM2になる頃に投稿するのが理想です。もっと素早く進めてもらうのは大歓迎です。頑張りと成果次第では様々な場所で発表できるでしょう。過去には修士の間に国際会議で3度発表した学生もいます。数ヶ月間海外に大学に滞在して研究を進めた学生もいます。例えば、フランスやギリシャへ研究留学した学生がいます。個人個人の頑張り度合いと進捗に掛かっています。
Q: 優れた研究成果を残したいです。
気を抜かず、地道に研究に取り組んでいれば研究成果は必ず残ります。優れた成果かどうかは数年経ってようやくわかることなので、欲張らず淡々と取り組みましょう。上にも書いた通り、IPLabでは外部発表を必ずしてもらいます。在学中に何度発表できるかは頑張り度合いと進捗に掛かっています。頑張って成長し、研究を進めるほどに研究成果も出ますし、ちゃんと報われる様にしています。真摯に研究に取り組んでください。
Q: 他分野から入学しても大丈夫ですか?
問題ありません。これまでにも他分野からの学生をたくさん受け入れています。そして、修士のみならず、博士を取る学生もいます。教員にも学部時代のバックグラウンドが異なる人がいます。しかし、他分野からの学生は情報系からの学生に比べて、学ぶべき内容が多いです。その上、研究も一流レベルで取り組まなければなりません。相当な知識を頭に入力し、他の学生と謙遜のない内容の研究を出力しなければなりません。大変ですがやりがいがあると思います。大学としてもその様な学生を想定して、幅広い情報分野の講義が開講されますので専門を変えたい人にはNAISTは適切な場所だと思います。ですが、行けばなんとかなるではなく、自分自身で達成するという覚悟を持って入学してきてください。現在の専門性に関わらず、一番重要なポイントです。
Q: 勉強しておいた方が良いことはありますか?
情報技術全般の知識を身につけて欲しいですが、例えばIPLabではOS(システム管理やOSの仕組みなど)の知識は必須なので、未着手であれば入学後に獲得することになります。TCP/IPの知識も欠かせません。ネットワーク管理に関わる知識・経験があると望ましいです。研究するのですから、物事を論理的に思考する能力、議論するためのコミュニケーション能力、自己管理能力など言い出すときりがありません。言われるがまま勉強していても面白くありませんから、自分の理想に対して不足している知識や技術を分析して、習得・経験をすると良いのではないでしょうか。ただし、物事(時事ニュースでもなんでも良いです)に対して自分の意見を生み出し、整理して表現する訓練は必ずしておいてください。それがないと議論も研究も始まりません。
Q: どれぐらい忙しいですか?
個人の意志と覚悟によりけりです。研究に没入したい人にとっては無限に時間が欲しいほど忙しいです。程々で良い人は自由に遊ぶ時間もあるでしょう。IPLabとしては、好きな研究に没頭して多忙な生活を送ってもらう事を期待しています。学生は望んで入学してきていると考えていますので、好きな事に取り組んでいて忙しい、が基本的な認識です。
しかし、土日も椅子に座って仕事をしている様ではいけません。IPLabでは「大統領の様に働き、王様の様に遊ぶ」をモットーにしています。学生が大統領の様に自己研鑽や研究に没頭する事を良しとしていますが、何事も没頭しすぎる事はよくありません。肉体的にも精神的にも安定し、最高のパフォーマンスを出すために、休日は王様の様にしっかりとガス抜きをして欲しいです。私はよく、運動をするか?趣味は何か?週末は何をしたか?を学生に問います。家でゴロゴロ寝るだけではなく、体を動かして本気で遊ぶということも平日働くために重要な要素なので、メリハリをつけて遊ぶことを推奨しています。
Q: 研究環境を教えてください。必要な物は買ってもらえますか?
もちろん必要なものは現実的な範囲で何でも揃えます。研究のための道具がない事が原因で研究が進まない、といった事は一切言わせません。しかし、潤沢に機材があるからといって研究は進みません;-)。機材の良し悪しではなく、知恵を絞った結果が大切です。
Q: 研究成果の発表で出張費は出ますか?
研究費で学生の分の出張費も賄います。
受験について
Q: 出願前に連絡した方がいいですか?
研究室の見学に来ない(何らかの理由で来れなくても、教員とメール交換すらしない)状態で受験する事は推奨していません。止めはしませんし、入学後に不利に扱う様な事は一切ありませんが、知らないまま研究室に来て、後から後悔してしまう様では学生・教員のどちらも不幸です。ここに書いてある事以上に研究室の空気感が大切です。研究室の雰囲気や在学生、教員との相性もあります。人である以上、必ず相性があるのでしっかり選んでください。奈良先端大では入学後に異なる研究室を希望することも可能ですが、そちらも相性が悪かったとなると目も当てられません。暫く過ごすことになる研究室ですから、選べる内にしっかり吟味しておいて下さい。
Q: 試験は難しいですか?
前半の口頭試問(数学)は比較的簡単な試験だと思います。過去問のみを勉強していると出題傾向が変わる可能性もありますので、試験範囲を満遍なく勉強しておく事をお勧めします。ひっかけ問題はほとんどなく、素直に解ける問題ばかりではないでしょうか。代数や解析が範囲ではありますが、難問はほとんど出題されていないと思います。ただし、面接形式の数学試験の練習をしておく事をお勧めします。面接員に向かって板書しながら説明を求められるので学生には慣れない状況です。数学を解く能力があっても場に飲まれてしまう様な事があっては元も子もありません。
後半の面接は、もちろん小論文をしっかり書いておいて下さい。(*一般論です。)当然の事ですが、小論文の内容は自分自身が理解していることはもちろんのこと、人の言葉を鵜呑みにしてコピーするのではなく、自分の言葉で説明できる必要があると思います。小論文は高々数ページですので書ける内容は少ないです。本当はもっとたくさんの事を知っていて、もっとたくさんの事を考えているはずでしょうから、質問されれば素直に答える。知識を問われれば"他人に理解できる様に"説明する。考えを問われたなら、自分の考えを"理由や根拠を交えて"説明する。面接時のやり取りに沿ってその場で考えることもできる筈です。きちんと面接員とコミュニケーションすれば良いと思います。そのための大前提として、何度も言いますが小論文がしっかり書けているという事が重要だと思います。小論文は即興で準備するものではありません。時間をかけられる書類なのですから早いうちから取り掛かって完成度を高めておくのが大切ではないでしょうか。なお、情報科学領域では入試に関するQ&A を準備していますので参照してください。
Q: 小論文に何を書けばいいですか?
何を書くかは募集要項の中で指示されているので素直に従ってわかりやすく説明してください。ただし、試験のための小論文ですから、事実だけを淡々と書くというよりはしっかりアピールする文章を書けばいいのではないでしょうか。どの様な知識・技術・経験を持っているのかをしっかりアピールしてみては。研究計画を書く部分では、自分が知っている関連知識はもちろんの事、取り組みたい研究テーマの重要性をしっかり書く必要があると思います(学術論文と同じですね)。小"論文"ですから、自分自身が生み出した意見・考察を論じる必要があると思います。文章は書いている人の考え整理状況や、物事の説明能力が如実に現れます。付け焼き刃では見透かされますから、どこまで考えを深化できたかが重要だと思います。
また、小論文を書くにあたっては文章力が大切です。いくら知識と技術があってもそれを表現できなければ評価のしようがありません。読み取れなければ低い点数をつけるしかありません。余裕を持って書き始め、何度も何度も推敲しておく事をお勧めします。実力があるのに評価されないという不幸を避けてください。入試に関するQ&A に小論文に関する項目もありますので参照してください。
Q: 他大学との併願でも構いませんか?
構いません。悔いのない状態で希望して来てもらった方が後々の不幸が減らせると思います。こんな筈じゃなかった、は避けてください。
(文責:妙中)